業務改善のボツネタ 現金出納帳をkintoneで実現?
株式会社MOVEDには業務改善支援部という部門があります。
システムを活用した課題解決の豊富な経験をもつ業務改善のプロとしてお客さまの様々な悩みに対してクリティカルな課題解決をお手伝いする伴走パートナーとなり、経営・業務課題の解決をサポートしています。

業務改善支援部のメンバー(働き方トレーナー)が業務改善について考える、
働き方トレーナーのレポート、略して“ ハタトレポート ”を紹介するワン!
記念すべき第1回目は、kintone認定資格カイゼンマネジメントエキスパートをお持ちの大野さんに登場していただきます。



大野さんよろしくお願いします!!



よろしくお願いします!!
今回は、業務改善のボツネタとしてkintoneで現金出納帳を作ったお話を紹介します。



ボツネタですか?
成功例ではなく、ボツネタを紹介されると?



そうです!失敗から学ぶことも多いと思いますしね。



なるほど!!勉強させてもらいます!!



よろしくお願いします。
今回はサイボウズ社が提供しているkintoneに加えて、グレープシティ社が提供しているkrewDataを利用します。
krewDataとは、カスタマイズ不要で、kintoneのアプリ間をまたいだ集計が可能なkintone連携サービスです。(kreaData公式)
いきなりですが前提として、kintoneで現金出納帳を作ることは、あまりオススメ出来ません。
kintoneの扱いに慣れている、kintoneのカスタマイズが出来る等の社内環境が整ってでもいない限りは「餅は餅屋」との表現がある様に、システム化していく中でも表計算ソフトの活用もまた1つの選択肢です。
経理系システムの利用検討がオススメ
経理系システムとkintoneの連携もサービスがありますし、kintoneではデータをExcelファイルやCVSファイルで取り込むことも出来ます。
kintoneを様々なデータの保管庫として利用するのは良い活用方法と考えますが、そのkintoneにデータを入れる方法にも様々な方法があります。
kintoneにも、出来ること出来ないことがありますので、それらの知識をもった上で取り組まれることがkintoneでの業務改善につながると考えます。
krewDataを使って高度な計算をする
今回のサンプルでは、kintoneの基本機能だけでなく、連携サービスの1つ「 krewData 」(クルーデータ)を利用することにより残高計算をしていきます。
kintoneでも計算は出来るのですが、「 累計 」がkintoneの基本機能では難しいので、krewDataの出番となるのです。
実際にkintoneアプリを作ってみる
実際にkintoneアプリの設定や、連携サービスの設定について説明します。
今回やるべきこと
- kintoneアプリの作成
・今回のサンプルでは、1日1レコードのアプリを作成します。
・フォームに入出金を入力するテーブルを用意します。
- krewData・スケジュール実行の編集フロー作成
・昨年~来年のレコードを取得し、各月毎に累計を計算していき、各レコードを更新します。
グレープシティ社のブログ「 kintoneで当日までの累計を自動計算しよう 」を参考にさせて頂いています。
アプリ作成とkrewDataの設定(画像)






今回はスケジュール実行を用いて、日々のバッチ処理をイメージしています。




krewDataで「 先月_残高 」と各累計が更新されることにより、日付毎の残高を計算しています。


一覧表示で見ると、各日付の残高が計算されていることが分かります。
更にやるとしたら?
・入金アプリ、出金アプリを別アプリにて作成する
入出金をテーブル入力から、別アプリでの入力に変更することで、入出金のグラフ化等のデータとしての扱いの幅が拡がります。
・勘定科目マスタアプリを作成して管理する
「 勘定科目 」を別アプリでマスタ化しておくことで、損益計算も検討していくことが可能となります。
※いずれの場合にも、kintoneの基本機能のみでは対応が出来ない内容とはなっています。
色々考えてボツにした理由は?
kintoneアプリを作っている過程で、ふと立ち止まって考えてみました。
「 こんな複雑なフローを組んで、残高更新する必要はあるだろうか? 」
毎月、月初の開始残高は「0 円」で良い。
そう考えると、krewDataのフローは簡素化できる。
kintoneとkrewDataを利用する前に、Excleなど表計算ソフトで十分じゃないだろうか?と色々考えが出てきました。
再度情報を収集し考えたところ、krewDataのフローにを以下のように見直しました。


複雑な設定は、運用管理において大きな課題となります。
複雑なフローでやりたいことが実現できた時は達成感がありましたが、よく考えてみるともっとスマートな方法もあったのでボツネタになりました。
まとめ
現金出納帳のイメージに近いものが、連携サービスを用いることによりkintoneでも作成できることは見えてきましたでしょうか?
しかしながら、あくまでもkintoneはkintoneであって、全てにおいて万能なシステムではありません。
業務改善やその業務の真の目的を考えて、従来のやり方を変えることも選択肢ですし、従来のやり方を活かすことも選択肢になり得ます。
kintoneを使っていくには、kintoneに合わせて業務フローの見直し等も必要となります。
目に見えないシステムに対して、予算がどれだけ取れるか等の課題はつきまとうかとも思います。少しでも業務改善の参考になれば嬉しいです。



大野さんありがとうございました!!
すごく複雑なフローをボツにする。
かなり決断力も必要になりませんか?



そうですね。
正直悩みました。
ただ、より良い方向が見つかりそうなら、前に進んでみる。
業務改善に答えはないと思っています。
だからこそ、色々な方法を模索することは大切だと考えます。
kintoneは便利なサービスですが、なんでもできる訳ではありません。
「 kintone導入したけど使えない 」と相談いただくことがあります。
色々と失敗してきたからこそ、より良い提案ができると思っています。



なるほど!
” 業務の目的を考えて、利用するツールを選ぶ!! ”
勉強になりました!
またレポート提出お待ちしています!!
大野 誠
働き方トレーナー
1975年生まれ。東京都日野市出身。2022年よりMOVEDにジョイン。
昭和なサラリーマン稼業を20数年経験してきた中でサイボウズのクラウドサービス「 kintone 」と出会いサイボウズ社やkintone界隈の方々の情報発信や交流から学び、自身の働き方を見直した結果、一念発起。
中小零細での様々な経験を幅広く活かしつつ主にkintoneを中心とした業務改善支援に対応。
kintone認定アプリデザインスペシャリスト
kintone認定カイゼンマネジメントエキスパート





